本学招聘客員教授の大村纂教授(チューリッヒ工科大学名誉教授)をお招きし、特別講演会(共催:第27回環境気象学コロキウム)を開催いたします。気候・気象学の世界的権威として知られ、長年ヨーロッパで活躍されてきた著名な先生です。「地球温暖化懐疑論」とそれに対する科学的応答など、日本で普通に生活しているとあまり触れることのない話題などをお話ししてくださる予定です。
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第一部「気候温暖化の争点を科学的に検討する」
12:50~14:20 @ アカデミックキューブ101室
講演要旨:
気候を全球的に総観すると19世紀末以来温暖化の傾向にある。 その原因は一義的には二酸化炭素をはじめとする多くの温室効果ガスの増加によりひきおこされ、幾つかのフィードバック過程を経て20世紀末までには0.8°Cの昇温を引き起こした。この分野の研究は200年近い歴史があり数多くの有能な科学者が貢献してきた。内容の進歩を分析的に見ると観察、理論、追証の面で極めて分厚い成果が蓄積されている。この温暖化の地球と人類の将来に対する影響の切実さを理解すると今すぐにでも対策を取らねばならない状況に直面している。それにもかかわらず、米大統領トランプ氏のように相変わらず気候温暖化懐疑派/反対派という人々が対策を遅らせようと奔走する現状を見るに、もう一度現行の温暖化現象を原点に戻って見直し、また反対派の意見の内容を分析してその真偽を正し将来の確実な展望をしてみよう。
第二部「環境学における実地観測の重要さについて」
14:30~16:00 @ アカデミックキューブ414室
講演要旨:
環境学は医学と並んで社会において極めて重要な役割を担う学際的分野である。ただその歴史が浅いため方法論の確立には今後の努力と成果が必要である。私は1980年代後半にスイスで初めての環境学部の創設に参加し、その後本環境学部を世界的な学部に育てることに成功した。大学の学部/教室の名を冠した縦割り分野に並んで、学際的横並び的研究・教育体制がいかに重要であるかを具体的問題を挙げて検討し 、その研究方法には実地の観察/観測が欠かせない基本的方法であることを、幾つかの例を挙げてお話ししたい。これは18世紀から19世紀をとおし現代に続くヨーロッパで推進されてきた科学の発展の歴史と大いに関係する重要な問題となるからである。