中川用語集
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内部エネルギー(internal energy)
 物質の巨視的なエネルギーは、質点の運動エネルギーや位置エネルギーとして把握できるが、これらの巨視的なエネルギーがなくても物質内部にはエネルギーが存在する。これを内部エネルギーと呼ぶ。物質を構成している微粒子が同じ方向に運動している場合には巨視的な運動エネルギーとして認識されるが、物質を構成している微粒子、例えば、空気塊を構成している空気分子が、それぞれ異なる重心運動や回転運動をして保持しているエネルギーが他に存在する。空気粒子は2分子気体なので、空気の内部エネルギーは、空気分子の重心運動や回転運動の運動エネルギーの総和となる。空気分子の運動の自由度は、重心運動がx、y、z軸方向に3、回転運動が方位角方向と高度角方向に2、合計の自由度は5なので、空気分子の運動エネルギーの総和、即ち内部エネルギーは、5/2×RTとなる。ここで、R;乾燥空気の気体定数、T;温度である。空気塊の内部エネルギーは温度Tに比例するというか、温度Tは内部エネルギーの大きさを表す尺度と位置づけることができる。内部エネルギーの変化は温度Tの変化に比例し、その比例定数は定積比熱cvと呼ばれる。内部エネルギーが5/2×RTと表されるので、定積比熱cv5/2×Rである。乾燥空気の場合、気体定数Rは287J/kg/Kなので、乾燥空気の定積比熱cv5/2×287=717J/kg/Kとなる。
 単位質量の空気塊の内部エネルギーdEI

dEI=cvT

と表される。従って、地上から高度hまでの大気柱の内部エネルギーEI
      h                        ph               p0
EI=∫ρcvTdz=-(cv/g)∫Tdp=(cv/g)∫Tdp
      0                     p0               ph
と表される。ここで、p0;地上気圧、ph;高度hの気圧である。
内部境界層(internal boundary layer)
粗度、地表面温度、地表面フラックスの階段状変化に対応して、風下側の大気下層に新たに形成される境界層のことで、IBLと記される。流入する気層が中立である場合、内部境界層(IBL)は、地表面の粗度や応力の変化の影響を受ける領域として定義される。内部境界層は自由流れの速度よりも小さい速度によって特徴付けられる。
波のエネルギー密度 (wave energy density)

 単位体積当たりの波のエネルギーを波のエネルギー密度と呼ぶ。
 変位yが

 y=Asin(kx-ωt)

で表されるx軸方向へ進行する弦の振動(横波)の波の運動エネルギー密度Kは

K=(1/2)σ(∂y/∂t)
2=(1/2)σω2A2cos2(kx-ωt)

となる。ここで、σ;線密度(単位長当たりの質量)、A;振幅、k;波数、ω;角振動数である。本式は、弦の運動エネルギー密度が、弦の振動同様に、波として、速さω/kで伝わることを意味している。周期Tについて時間平均した平均運動エネルギー密度は、

  <K>=(1/T)∫Kdt=(1/4)
σω2A2

と表せる。
 同じ
弦の振動(横波)の波の位置エネルギー密度Uは、弦の張力τと弦の伸び(1/2)(∂y/∂x)2の積と等しいから、

U=(1/2)τ(∂y/∂x)2=(1/2)τk2A2cos2(kx-ωt)

となる。
本式は、弦の位置エネルギー密度が、弦の運動エネルギー密度同様に、波として、速さω/kで伝わることを意味している。従って、周期Tについて時間平均した平均位置エネルギー密度は、

  <U>=(1/T)∫Udt=(1/4)
τk2A2

と表せる。弦を伝わる波の速さvは

v=√(τ/σ)

と表されるから、張力τは、

τ=σv
2=σ(ω/k)2

と表されるため

τk2=σω2

が成り立つ。従って、

  <K>=<U>=(1/4)σω2A2

なので、弦の振動(横波)の波の平均エネルギー密度  <E>+<U>

  <E>+<U>=(1/2)σω2A2

と表せ、弦の振動(横波)の波の振幅の自乗および角振動数の自乗に比例することが分かる。
 
変位yが

 y=Asin(kx-ωt)

で表されるx軸方向へ進行するヤング率E、密度ρ、断面積Sのの振動(縦波)の波の運動エネルギー密度Kは

K=(1/2)Sρ(∂y/∂t)
2=(1/2)Sρω2A2cos2(kx-ωt)

となる。本式は、棒の運動エネルギー密度が、弦の振動同様に、波として、速さω/kで伝わることを意味している。周期Tについて時間平均した平均運動エネルギー密度は、

  <K>=(1/T)∫Kdt=(1/4)
ω2A2

と表せる。
 同じ
の振動(縦波)の波の位置エネルギー密度Uは、

U=(1/2)SE(∂y/∂x)2=(1/2)SEk2A2cos2(kx-ωt)

となる。
本式は、弦の位置エネルギー密度が、弦の運動エネルギー密度同様に、波として、速さω/kで伝わることを意味している。従って、周期Tについて時間平均した平均位置エネルギー密度は、

  <U>=(1/T)∫Udt=(1/4)
SEk2A2

と表せる。弦を伝わる波の速さvは

v=√(E/ρ)

と表されるから、ヤング率Eは、

E=
ρv2=ρ(ω/k)2

と表されるため

Ek2=ρω2

が成り立つ。従って、

  <K>=<U>=(1/4)Sρω2A2

なので、の振動(縦波)の波の平均エネルギー密度  <E>+<U>

  <E>+<U>=(1/2)Sρω2A2

と表せ、の振動(縦波)の波の振幅の自乗および角振動数の自乗に比例することが分かる。剛体の場合には伸びの問題であるから単位体積あたりのエネルギーはヤング率Eに比例するが、流体の場合には圧縮の問題であるから単位体積あたりのエネルギーは体積弾性率Kに比例するので、の振動(縦波)の波の式においてヤング率Eを体積弾性率Kに置き換えれば、流体の中の音波の式が得られる。
 電磁波の場合、平均電界エネルギー密度<ue>

<ue>=(1/4)ε0|Ex0|2
       
と表される。ここで、ε0;真空誘電率(=8.85×10-12F/m)Ex0;電界強度である。一方、平均磁界エネルギー密度<um>は、

<um>=(1/4)μ0|Hy0|2

と表せる。ここで、μ0;真空誘磁率(=4π×10-7H/m)Hy0;磁界強度である。従って、電磁波の平均エネルギー密度<ue>+<um>は、両者の和を取って、

<ue>+<um>=(1/4)ε0|Ex0|2+(1/4)μ0|Hy0|2
       =(1/4)
(ε0μ0){(ε0/μ0)|Ex0|2+(μ0/ε0)|Hy0|2}
       =(1/2)
(ε0μ0)|Ex0||Hy0|
       =(1/2)
(ε0μ0)|Ex0|2/Z0

と表せる。ここで、Z0;特性インピダンス(√μ0/ε0=376.7ohm)である。
 以上の記載から明らかなように、波のエネルギー密度は、振幅の自乗に比例する。

波のエネルギーフラックス密度 (wave energy flux density)

 単位面積に垂直な方向に単位時間に通過する波のエネルギーを、波のエネルギーフラックス密度と呼ぶ。波の強度とも呼ぶ。波のエネルギーフラックス密度は、波のエネルギー密度に波の位相速度を掛けることにより求まる。

波の強度 (wave intensity)

 単位面積に垂直な方向に単位時間に通過する波のエネルギーを、波の強度と呼ぶ。波のエネルギーフラックス密度とも呼ぶ。波の強度は、波のエネルギー密度と波の位相速度の積として求まる。
 平均エネルギー密度  <E>+<U>

<E>+<U>=(1/2)σω2A2

と表される弦の振動(横波)の波の強度Iは、

I=(1/2)σ(2π/T)2A2v=(1/2)σω2A2(ω/k)=(1/2)σω3A2/k

と表される。
 平均エネルギー密度  <E>+<U>

<E>+<U>=(1/2)Sρω2A2

と表されるの振動(縦波)の波の速さが√(E/ρ)と表されるので波の強度Iは、

I=(1/2)ρ(2π/T)2A2v=(1/2)ρω2A2(E/ρ)=(1/2)ω2A2(ρE)

と表される。剛体の場合には伸びの問題であるから単位体積あたりのエネルギーはヤング率Eに比例するが、流体の場合には圧縮の問題であるから単位体積あたりのエネルギーは体積弾性率Kに比例するので、剛体中の縦波の速さの式においてヤング率Eを体積弾性率Kに置き換えれば、流体の中の音速(ρK)と表される。流体中を波が伝播する際には、急激に圧力や体積の変化が発生するため断熱的であるので、流体の体積弾性率Kは比熱比×気圧に等しくなり、音波の強度I

I=(1/2)ρω2A2(K/ρ)=(1/2)ρω2A2(γp/ρ)=(1/2)ρω2A2(γRT)

と表される。ここで、γ;比熱比(1.40)p;気圧、R;乾燥空気の気体定数、T;温度であり、(γRT)音速である。
 電磁波の場合は、平均エネルギー密度
<ue>+<um>

<ue>+<um>=(1/4)ε0|Ex0|2+(1/4)μ0|Hy0|2
       =(1/4)
(ε0μ0){(ε0/μ0)|Ex0|2+(μ0/ε0)|Hy0|2}
       =(1/2)
(ε0μ0)|Ex0||Hy0|
       =(1/2)
(ε0μ0)|Ex0|2/Z0

と表せ、電磁波の速度が1/√(ε0/μ0)なので、電磁波の強度Iは、

=(1/4){(ε0/μ0)|Ex0|2+(μ0/ε0)|Hy0|2}
    =(1/2)
|Ex0||Hy0|
  
=(1/2)|Ex0|2/Z0

と表される。ここで、
ε0;真空誘電率(=8.85×10-12F/m)Ex0;電界強度、μ0;真空誘磁率(=4π×10-7H/m)Hy0;磁界強度、Z0;特性インピダンス(√μ0/ε0=376.7ohm)である。

南極振動 (Antarctic oscillation)

南半球における700hPa等圧面高度偏差場の主成分分析によって得られる寄与率が約30%に達する第1主成分を南極振動と呼ぶ。南極振動は、北極振動と同様に、南極振動指数の値(第1主成分得点)が大きな正の値の時(極渦が強い時)には南極域の気圧が負偏差を示す一方で、中緯度の海上を中心に正偏差を示し、南極振動指数の値が大きな負の値の時には逆のパターンとなる、南極域と中緯度の気圧のほぼ環状のシーソー的変動とされている。

(http://www.cpc.ncep.noaa.gov/products/precip/CWlink/daily_ao_index/aao/new.aao.loading.gifより)

 

南極振動指数 (Antarctic oscillation index)

南極振動の強さを表現するための指標。南半球における700hPa等圧面高度偏差場の主成分分析によって得られる第1主成分得点が南極振動指数として定義されている。下図は、1979年以降の南極振動指数の3ヶ月移動平均の時系列である。赤色で示されている高指数時は中緯度地方へは寒気が流出しにくいのでwarm phaseと呼ばれ、青色で示されている低指数時は中緯度地方へ寒気が流出しやすいのでcool phaseと呼ばれる。


(http://www.cpc.ncep.noaa.gov/products/precip/CWlink/daily_ao_index/month.ao.gifより)


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