中川用語集
用語集Topへ戻る前に戻る 
  中川清隆ホームページTOP      あ→   

アスペクト比  アスマン通風乾湿球温度計  暖かい雨 亜熱帯無風帯    アルベド  アンゴット値 

アスペクト比 (aspect ratio)
 画面や画像の縦横比をアスペクト比と呼ぶ。普通のテレビ画面のアスペクト比は4:3、即ち、1.33:1である。
 物理学では、流体の特徴的な深さと長さの比をアスペクト比と呼ぶ。積雲対流を初め、マントルや海洋の対流現象を扱う分野では、対流の水平スケールと鉛直スケールの比を対流のアスペクト比と呼んでいる。
 これらの場合、アスペクト比が大きい場合には横長の構造になる。
 これに対して、都市気候学の分野では、街区の2次元的表面形状を現す指標としてアスペクト比という用語が用いられており、建物と建物の間に形成されるストリートの深さと幅の比をストリート・アスペクト比street aspect ratio、建物の高さと幅の比をビルディング・アスペクト比building aspect ratioと呼んでいる。この場合には、アスペクト比が大きい場合には縦長の構造になるので、注意が必要である。
アスマン通風乾湿球湿度計 (Assmann aspirated psychrometer)
乾球温度と湿球温度を計測して水蒸気圧や湿度を求める携帯型の観測装置。一定風速の風を感部に通風するための吸引式のファンを備えた乾球、湿球2本の高精度の水銀温度計から構成されている。乾球、湿球2本の温度計は、二重壁構造の放射遮蔽管により、周囲からの日射や赤外線の影響が除去されており、本体フレームと二重壁構造の放射遮蔽管との間には断熱材が挟まれていて本体フレームから熱が伝わらないようにしてある。通風は、空気と温度計感部との間の熱交換を効率的に行わせるために施されており、通風により空気が加熱されないように、吸引式となっている。




乾球温度をTd、湿球温度をTw、気圧をp、水蒸気圧をeとすると、乾球と湿球の回りの空気塊中の水蒸気量は、それぞれ、

εe/p   と   εE(Tw)/p 

と表現でき、空気塊が乾球近傍から湿球近傍に移動する間に増加した水蒸気量は、

ε{E(Tw)-e}/p

となる。ここで、E(T);温度Tでの飽和水蒸気圧である。これだけの水蒸気量が増加するために必要な潜熱の量は、

εL(Tw){E(Tw)-e}/p

である。ここで、L(T);温度Tでの蒸発の潜熱である。
一方、乾球と湿球の回りの空気塊の顕熱は、それぞれ、

CpTd   と   CpTw

と表現でき、空気塊が乾球近傍から湿球近傍に移動する間に失った顕熱量は、

Cp(Td-Tw)

となる。ここで、Cp;乾燥空気の定圧比熱である。
エネルギー保存の法則により、水蒸気量増加のために必要だった潜熱量と空気塊が失った顕熱量は等しくなくてはならないので、

εL(Tw){E(Tw)-e}/p=Cp(Td-Tw)

が成り立つ。この式をeについて解くと、水蒸気圧eは、次式

e=E(Tw)-Cpp/{εL(Tw)}(Td-Tw)

により与えられる。この式は湿度計方程式と呼ばれており、Cpp/{εL(Tw)}は乾湿計定数と呼ばれている。

暖かい雨 (warm rain)
氷晶を一切含まない暖かい雲からの降水を暖かい雨と呼ぶ。
気象学が発達した国々が存在する中緯度地方における降水はほぼ例外なく雲頂部に氷晶を持つ雲からの降水であり、雲頂部において氷晶の形成に至らない限り降水現象が発現することはないと信じられていた。ところが、中緯度地方より激しい降水のある熱帯地方での調査が進むと、雲頂部に氷晶が存在しないどころか温度が氷点下にもなっていない雲から激しい降水が発生しており、熱帯地方における降水は中緯度地方における降水とは異なるメカニズムを有することが明らかになり、熱帯地方における降水を暖かい雨と呼び、これに対して、中緯度地方における降水を冷たい雨と呼ぶようになった。
熱帯地方では雲のほとんどが積雲であり、積雲内の上昇気流は毎秒数mに達する。半径10μm程度の典型的な雲粒の終端速度は1cm/s程度であるので、雲低付近の雲粒は上昇気流により持ち上げられ上昇しながら成長する。雲粒が雲底から約2500m持ち上げられ半径400μm程度まで成長するとその終端速度は約3m/s程度となり、上昇気流で支えられることができなくなり、雲粒は下降し始める。雲層内を下降する間終端速度が小さい他の雲粒を併合するので、雲粒は益々成長し、終端速度も大きくなり、雲底を通過する際には、半径約2500μm(2.5mm)の大きさに達する。半径2.5mmは驟雨の初期に現れる典型的な雨滴半径であり、終端速度は約13m/sである。半径2.5mmを超える巨大雨滴は終端速度が多きため大きな抵抗力を受け壊れ、少数の大きな水滴と多数の微小水滴になる傾向がある。これらの水滴は上昇気流によって再び持ち上げられながら成長を再開し、数分後にはさらに多数の大きな水滴を作り出し、雲粒を雨滴として落下させる連鎖反応がスタートすることとなり、一旦積雲から驟雨が始まると短時間の間に雲が持っている液体の水のかなりの量が失われる。
亜熱帯無風帯 (horse latitudes)
 高温乾燥で風速が小さい北半球・南半球の緯度30°〜35°付近にある二つの緯度帯のこと。亜熱帯高気圧および極方向への高層の気流からの大規模な下降気流を伴っている。この下降気流は、地表面に達した後、一部は貿易風の一部として赤道地域へ広がり、残りは偏西風の一部として極方向へ広がる。horse latitudesという用語は、西インド諸島への馬の帆船輸送を行っていたスペイン航海時代に起源がある。中間の大西洋中央のこの緯度帯で無風のため停船する事態がしばしば発生し、その結果、航行期間が著しく長引かせられるため水不足に陥り、乗組員が彼らの馬を水中に捨てた故事に由来する。
雨 (rain)
 大気中から地上に落下する液体の水。大気中の水蒸気が凝結して形成された雲粒が成長を続けて重くなり、雲が存在する領域の上昇気流では支えることが出来なくなると、地上に落下する。雲粒が成長して雨滴に至る過程には、中緯度地方における冷たい雨と、熱帯地方における暖かい雨、の2種類が存在することが知れれている。この際液体の状態で落下すると雨と呼ぶ。氷の結晶の状態で落下すると雪と呼ぶ。雨は落下途中で雪が解けて形成される。落下中の雨粒子が凍ると霰となる。固体の降水粒子が激しく上下動を繰り返すと直径が5mmを超える粒子の成長とともに固体粒子の表面が融解凝結を繰り返して年輪構造を有するようになり雹と呼ばれる。
 気象庁は地上気象観測法で、雨を大気水象の先頭に掲げ、「水滴からなる降水」と定義している。それによると、水滴の直径の多くは 0.5o以上であるが,もっと小さいものが,まばらに降ることもある、としている。雨滴の直径と集中度は雨の強さや降り方によりかなり変化し、雨滴は普通霧雨の粒よりも大きいが、降雨域の端で降っている雨滴は蒸発のために霧雨の粒と同程度の小粒になることがあるものの、その場合には粒が分散して降るので霧雨と区別できる、としている。
アルベド (albedo)
特定の表面に於ける入射日射フラックス密度に対する反射フラックス密度の比。反射率が波長分布が一様な入射フラックス密度に対する特性を表すのに対して、アルベドは太陽放射の波長分布をもつ入射フラックス密度に対する特性に限定して用いる。アルベドは、通常、単色光ではなく広帯域、特に太陽放射全波長域や可視域全体における反射率として扱われる傾向がある。より厳密な研究では、特定の波長に対する波長別アルベドが要求される。アルベドは、表面を構成する物質や色、および形状に依存し、自然界の表面の可視域アルベドは、頭上に太陽がある静穏な深水における約0.04から新鮮な雪や厚い雲における0.8以上の範囲を変動する。表面に細かな起伏のある形状を持つ多くの表面では、太陽天頂角の増加に伴うアルベドの増加が認められる。
アンゴット値 (Angot value)
大気外日射量の日積算値をアンゴット値またはアンゴット放射と呼ぶことがある。
 

中川用語集            あ→