乾球温度と湿球温度を計測して水蒸気圧や湿度を求める携帯型の観測装置。一定風速の風を感部に通風するための吸引式のファンを備えた乾球、湿球2本の高精度の水銀温度計から構成されている。乾球、湿球2本の温度計は、二重壁構造の放射遮蔽管により、周囲からの日射や赤外線の影響が除去されており、本体フレームと二重壁構造の放射遮蔽管との間には断熱材が挟まれていて本体フレームから熱が伝わらないようにしてある。通風は、空気と温度計感部との間の熱交換を効率的に行わせるために施されており、通風により空気が加熱されないように、吸引式となっている。

乾球温度をTd、湿球温度をTw、気圧をp、水蒸気圧をeとすると、乾球と湿球の回りの空気塊中の水蒸気量は、それぞれ、
εe/p と εE(Tw)/p
と表現でき、空気塊が乾球近傍から湿球近傍に移動する間に増加した水蒸気量は、
ε{E(Tw)-e}/p
となる。ここで、E(T);温度Tでの飽和水蒸気圧である。これだけの水蒸気量が増加するために必要な潜熱の量は、
εL(Tw){E(Tw)-e}/p
である。ここで、L(T);温度Tでの蒸発の潜熱である。
一方、乾球と湿球の回りの空気塊の顕熱は、それぞれ、
CpTd と CpTw
と表現でき、空気塊が乾球近傍から湿球近傍に移動する間に失った顕熱量は、
Cp(Td-Tw)
となる。ここで、Cp;乾燥空気の定圧比熱である。
エネルギー保存の法則により、水蒸気量増加のために必要だった潜熱量と空気塊が失った顕熱量は等しくなくてはならないので、
εL(Tw){E(Tw)-e}/p=Cp(Td-Tw)
が成り立つ。この式をeについて解くと、水蒸気圧eは、次式
e=E(Tw)-Cpp/{εL(Tw)}(Td-Tw)
により与えられる。この式は湿度計方程式と呼ばれており、Cpp/{εL(Tw)}は乾湿計定数と呼ばれている。