■環境データサイエンス(環境DS)とは?
環境システム学科・環境システム学専攻 環境情報学分野では、環境データサイエンスを用い、「物化生地」の枠にとらわれず社会の問題を含むデジタルグリーンやGX(Green Transformation)分野の課題に対応できる人材を育てています。
環境データサイエンスは、環境システム学科環境情報分野が1998年の開設時から作り上げてきたカリキュラム体系であり、観測データ、ドローンや人工衛星などによる面的な空間情報を含む環境情報を、GIS(地理情報システム)、AI、統計解析、数値シミュレーションなどのデータサイエンスの手法でモデル化し、SDGsなどの社会課題を含む様々な環境問題に適用した研究・教育を行っています。
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■環境DSで何ができる?
ヒートアイランドの原因を探る(気象分野との連携)
ニホンリスの生息域評価を行う(生物分野との連携)
荒川河川敷 上流-下流の植生の変遷を調べる(地学・生物分野との連携)
災害時の被災個所をAIで早期発見する(地学・水文分野との連携)
美味しいお米を見分け圃場の管理を行う(農業分野との連携)
環境DSで見る土壌微生物の世界 ~微生物多様性が支える地球生命圏~
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※横山和成教授の所属が前職になっております。
大地の中に広がる宇宙 -土壌微生物の世界をのぞいてみようー
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※後半、光の関係でスライドが見にくくなってます点ご了承下さい。
家庭生ゴミをゼロにするための 社会的な仕組み作り
2021年度から、横山特任教授・後藤教授が中心になり、品川区xNPOみんなの食育と協働し、こみゅにてぃーぷらざ八潮で土壌リフレッシュセミナーを行っております。この事業では、土壌微生物多様性・活性値(BIOTREX)を計測しながら、数値をベースにした土壌再生の方法を啓蒙し、その過程でコンポストやSDGsゲームを作ったり、家庭生ゴミをゼロにするための社会的な仕組み作りを参加者や学生と検討しております。
2022年度は、木枠コンポストで堆肥を作りはじめ、夏休みの自由研究のテーマにと、参加者各自がペットボトルコンポストを作りはじめました。これを機に、コンポストに関する質問や状況報告を行うことでソーシャルに土壌再生を行うための情報共有サイトを作りました。
IoTを使って温度、土壌水分、CO2の計測を行い、土壌の生成過程の見える化を行うなど、今後、多様な参加者が情報提供してくれるものと期待されます。
■数値シミュレションでデジタルグリーンに
静岡の海の生物多様性の保全とその豊かな恵みの持続可能な利活用に向けた実践活動につなげるため、令和元年6月25日に「森は海の恋人」水の循環研究会(後藤真太郎教授(環境情報学)は委員として開発メ
ンバーに参加)を設置し、南アルプスを源流とする富士川・大井川水系と駿河湾沿岸部までをケーススタディとして、陸域から海域への栄養供給と海域の生物生産との関係の検証に3か年にわたって取り組みました。その成果であるスルガベイ・シミュレーターが公開されました(2022/9/20)
「森は海の恋人」水の循環研究会成果報告書(概要)(R1-3)
「森は海の恋人」水の循環研究会成果報告書(R1-3)
2021年7月3日 熱海で発生した静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で発生した大規模な土砂災害において、被災後にドローンにより撮影された画像から点群データを発生させ3Dデータを作ります。さらに、被災前の点群データとの差を計算し、流出土砂量を求めます。被災状況をわかりやすく見える化するために3Dプリンターを使用しました。来校型オープンキャンパスでの対面での説明に興味を持たれた来校者が多く、ご要望に応え動画公開します。
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動画:2021年7月伊豆山土砂災害における被災状況の可視化
GISを使ったまちづくり ~熊谷うちわ祭りへの適用~
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熊谷うちわ祭り実行委員会と協働して2007年より実施しているが、2020年、2021年、2022年はコロナ禍により中止。
AIを用いたスポーツサイエンスへの空間情報処理の応用
テニス部所属の3年生名取賢冴君(環境情報学分野)は、AI(YOLO5)を用い動画から挙動を解析し、テニス選手、テニスボール、ラケットの動きを抽出して選手のスキルを評価する研究を行っています。
動画:AIを用いたスポーツサイエンスへの空間情報処理の応用
Q&A
Q:環境情報学を勉強したい場合、生物・地球コース、気象・水文コースのどちらを選べばいいのですか?
A:どの分野でもコンピュータによる情報処理が行われているので、環境情報分野は両方のコース共通で環境データサイエンスが学ぶことができ、環境情報を使って「物化生地」が学べるようになっております。
2年生後期のゼミ配属の時には、環境情報学以外の分野を環境データサイエンスを使って学びたい学生が環境情報学分野の研究室を希望できる仕組みになっています。
Q:環境情報学分野で学べる農業分野の研究はどんな内容ですか?
A:スマート農業を学ぶことができます。例えば、稲や露地野菜の収穫時期をドローンによる観測データで予測してます。これまでに、稲、深谷ネギ、ニンジンなどをテーマにして研究してます。深谷ネギの糖度も予測できます。
また、熊谷キャンパス周辺の比企丘陵にはため池が200位あり、古いため池は1500年以上前から、ため池の水だけを使った農業(谷津沼農業)がおこなわれています。このことが評価され、2023年には日本農業遺産に選定されています。環境情報分野はその申請に6年かけて支援しております*。その過程で、谷津沼農業で肥料なしでお米が収穫できる原因をドローン、GIS、化学分析、微生物多様性解析など情報のみならず、関係する分野の分析手法を用いて究明しようという研究も進められています。そのかたわら、谷津田を借りて、農福連携圃場**で農福連携の団体、NPO、大学生、都内・県内の高校生、一般の方々と稲作を行い、日本酒を醸造し、酒粕で発酵させたパンを作って販売したり、土壌微生物多様性を計測して良い土をブランディングし、マルシェで販売して環境まちづくりを行ったりしています。
さらに、学校給食の有機化の全国的な活動は日本農業遺産選定の地域である小川町(世界の有機農業の発祥地)から情報発信が行われており、農林水産省のみどりの食料戦略(2050年までに現在の農地の25%を有機農地にするという計画)を見据えて、小川町の団体と協働して有機稲作セミナー***を開催し、科学的なデータに基づいて有機農家の養成を行っています。
*立正大学谷津田イノベーション研究会の6年間の活動
**農福連携圃場
***有機稲作セミナー
Q:DXハイスクールに採択されました。出前授業やワークショップなどで協働できますでしょうか? New!
A:これまでにも高大連携で、高校教員向けに研修を行ったり、SSH採択校などで出前授業を行ってます。また、オープンキャンパスではワークショップを行って大学の施設を公開してます。DXハイスクールは主にデジタルグリーン分野の人材を養成するのが目的ですので環境情報分野で行っている空間情報学x環境データサイエンスの分野の教育メニューはそのまま適用できます。出前授業のリストは以下をご参考にしてください。
Q:環境データサイエンスとデータサイエンス学部で学ぶデータサイエンスとはどこが違いますか?
A:環境情報分野で学ぶ環境データサイエンスは純粋な理系であるのに対し、データサイエンス学部で学ぶデータサイエンスは文理融合型の経済系ですので対象とする課題に対するアプロ―チが異なります。
Q:環境情報学分野ではどんな分野に就職していますか?
A:令和4年度の環境システム学科の就職先で情報通信分野、建設業(測量会社、建設会社のGIS部門を含む)の割合は、共に13.6%、この多くは環境情報分野の学生です。
・地球環境科学部の就職状況
・環境システム学科の主な就職先