講義体験/学習の基礎II

学習の基礎II

地球環境科学(Geo-environmental science)を学び、研究をするためには、ただ机の前に座って頭を働かせるだけでなく、実験室やコンピュータ室あるいは資料室で、そして海や山や町の中といった野外のフィールドで、全身を使って行動しながら考えることが不可欠です。このうち、野外での作業を総称してフィールドワーク(Fieldwork)といいます。

フィールドワークは「野外研究」「実地調査」などと訳されることもあります。環境システム学科の授業科目である学修の基礎II(1年生向け)は必修科目であり、地球環境科学の諸分野を学ぶ上で必要とされる野外での作業の一端を経験し、調査・研究の目的に応じた 頭と目と手足の動かし方 を修得するために設置されているものです。

平成23年度の学修の基礎IIは、入学の約1週間後という、頭も体もフレッシュな時期に、富士山麓で実施しました。1日目には、山梨県立環境科学研究所を訪れた後に、鳴沢の熔岩樹型や富岳風穴、西湖湖畔で実習を行いました。 1日目の夜は、今後の大学生活に備えて、履修相談を行いました。教員や先輩方に相談しながら、各自時間割の組み方を考えました。2日目には富士山レーダードーム館で気象について、その後、山中湖で雲や湖水を観察・測定し、生物の外来種・在来種について学びました。

1日目

出発

大学に朝8時30分に集合し、9時に出発しました。

山梨県環境科学研究所

最初の実習ポイントは、山梨県環境科学研究所です。この付近はおよそ1000年前に富士山頂の北の割れ目から流れ出た剣丸尾熔岩に覆われており、その上にアカマツ林が形成されています。研究所の研究員の方に、富士山の火山活動や、富士五湖の湖底堆積物からわかる最近数万年間の環境変遷についての講義をしていただきました。研究所で昼食をとった後、以下の3地点を巡りました。

鳴沢の熔岩樹型

熔岩樹型とは、熔岩流中に樹木が閉じ込められ, 木質部は消失して残った空洞のことです。鳴沢の熔岩樹型には、青木ヶ原熔岩流で出来た熔岩樹型が複数存在しています。熔岩樹型を見て回りながら、その成因などについて学びました。

青木ヶ原樹海と富岳風穴

鳴沢氷穴の入口でバスを降り、そこから富岳風穴まで、青木ヶ原樹海の中を約20分かけて周辺の植生などを観察しました。青木ヶ原樹海は864年の噴火でできた熔岩(青木ヶ原熔岩)上に広範囲に発達した原生林です。青木ヶ原周辺には、風穴と呼ばれる洞穴が多数あります。風穴は、谷筋を流れた熔岩が周辺部から先に冷えて固まり、中央部の熔岩が流れ出て形成されたものです。風穴の中は年中涼しい天然の冷蔵庫で、かつては蚕の卵を貯蔵するのに利用されていたそうです。富岳風穴の入口で風穴の形成について解説を受けた後、風穴内を見学して涼しさを体感しました。

西湖

水の中にいる生物にとって、呼吸に必要な酸素がどのくらい水中に溶け込んでいるのかは重要な問題です。水中に溶け込んでいる酸素を溶存酸素といいます。溶存酸素について解説を受けた後、最新式の溶存酸素計である「蛍光式酸素計」で湖水の溶存酸素濃度を測定しました。

ガイダンス

夕食の後は、履修相談を行いました。多くの選択科目から自分専用の時間割を作る、というのはほとんどの学生が初体験です。今回、引率してくれた先輩方が頼もしく見えたことでしょう。

2日目

朝9時に宿を出発し、富士山レーダードーム館に向かいました。

富士山レーダードーム館

富士山レーダードーム館内を見学し、気象について学びました。はじめに、富士山レーダーができるまでのドキュメンタリーを鑑賞し、レーダー建設時の人々の苦労や情熱、富士山にレーダーを建設することの意味や設置後の革新的な成果などについて学びました。その後、クイズステーションで気象に関する10問クイズに挑戦しました。また、ドーム館屋外の敷地内にあった熔岩を観察し、スケッチをしました。

山中湖

山中湖畔でクラス毎に移動しながら、気象、水質、生物についての実習を行いました。その際、クラスの代表者がGPS(全地球測位システム)の小型受信機を持ち、移動の軌跡を記録しました。

気象
山中湖畔で雲の観察を行い、雲の種類(10種雲形)とそれらの見分け方について学びました。また、富士山のような山岳周辺でできる雲(笠雲、旗雲、滝雲、つるし雲)についての話もありました。
水質
山中湖の湖水のpHと電気伝導度の測定を行いました。pHと電気伝導度などは、湖水の水質を知る上で重要なものとされます。1人に1冊ずつ配布されたフィールドノートに、測定したpHと電気伝導度の値を書き込みました。
生物
山中湖にはブラックバスのような外来種も生息しています。ブラックバスはワカサギなどの小魚を食べて生きています。「害魚」扱いされやすい外来種ですが、ブラックバスだってワカサギと同じ「生物」です。また、外来種・在来種の問題は、魚だけでなく植物など他の生物にもみられます。生態系の構造、外来生物法や人間との共存などについて説明を受けました。

到着

4月7日17時前に、全員無事に立正大学熊谷キャンパスに到着しました。お疲れ様でした。

GPS

後日行われた講習会にて、Google Earthというソフトウェアを使って、山中湖畔でGPSにより記録した位置情報に自分たちが記録したデータや写真を登録し、地図上に表示する方法を学び、レポートを作成することで、GIS(地理情報システム)の初歩を体験しました。